Japanische Klassiker mit Furigana
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ひゃくものがたり
山椒大夫・高瀬舟
Lesen Sie 山椒大夫・高瀬舟 (ひゃくものがたり) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.466 Zeichen · 92 Bildschirme
お前は忠実この上もない人であるから、これから主取をしたら、どんな立身も出来よう。どうぞここで別れてくれと云うのであった。
九郎右衛門は兼て宇平に相談して置いて、文吉を呼んでこの申渡をした。宇平は側で腕組をして聞いていたが、涙は頬を伝って流れていた。
黙って衝っ伏して聞いていた文吉は、詞の切れるのを待って、頭を擡げた。った目は異様に赫いている。そして一声「檀那、それは違います」と叫んだ。心は激して詞はしどろであったが、文吉は大凡こんなことを言った。この度の奉公は当前の奉公ではない。敵討の供に立つからは、命はないものである。お二人が首尾好く本意を遂げられれば好し、万一敵に多勢の悪者でも荷担して、返討にでも逢われれば、一しょに討たれるか、その場を逃れて、二重の仇を討つかの二つより外ない。足腰の立つ間は、よしやお暇が出ても、影の形に添うように離れぬと云うのであった。
さすがの九郎右衛門も詞の返しようがなかった。宇平は蘇った思をした。
それからは三人が摂津国屋を出て、木賃宿に起臥することになった。もうどこをさして往って見ようと云う所もないので、只已むに勝る位の考で、神仏の加護を念じながら、日ごとに市中を徘徊していた。