Japanische Klassiker mit Furigana
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ひゃくものがたり
山椒大夫・高瀬舟
Lesen Sie 山椒大夫・高瀬舟 (ひゃくものがたり) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.466 Zeichen · 92 Bildschirme
「どうです。こう天気続きでは、米が出来ますでしょうなあ」「さようさ。又米が安過ぎて不景気と云うような事になるでしょう」「そいつあいませんぜ。鶴亀鶴亀」こんな対話である。
僕のいる所からは、すぐ前を漕いで行く舟の艫の方が見える。そこにはお酌が二人乗っている。傍に頭を五分刈にして、織地のままの繭紬の陰紋附に袴を穿いて、羽織を着ないでいる、能役者のような男がいて、何やら言ってお酌を揶揄うらしく、きゃっきゃと云わせている。
舟は西河岸の方に倚って上って行くので、廐橋手前までは、お蔵の水門の外を通る度に、さして来る潮に淀む水の面に、藁やら、鉋屑やら、傘の骨やら、お丸のこわれたのやらが浮いていて、その間に何事にも頓着せぬと云う風をして、鴎が波に揺られていた。諏訪町河岸のあたりから、舟が少し中流に出た。吾妻橋の上には、人がだいぶ立ち止まって川を見卸していたが、その中に書生がいて、丁度僕の乗っている舟の通る時、大声に「馬鹿」とどなった。
舟の着いたのは、木母寺辺であったかと思う。生憎風がぱったり歇んでいて、岸に生えている葦の葉が少しも動かない。向河岸の方を見ると、水蒸気に飽いた、灰色の空気が、橋場の人家の輪廓をぼかしていた。