Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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やまうらきよまろ

山浦清麿

吉川 英治

Lesen Sie 山浦清麿 (やまうらきよまろ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.573 Zeichen · 91 Bildschirme

Aozora Bunko

『会わせないというのかえ。――あ、あれは、鍛冶小屋の音だね。お前さんなんぞの取次ぎは待たないからいい。自分で勝手に会って来るよ』

家の横へ廻って、裏へ行こうとするので、

『あっ、いけません。――もしっ』

お次が、裸足で飛び降りて、彼女の前を遮った。

『なにさ? 出洒張って』

お寿々は、お次を突き飛ばして、小走りに駈け込んで行った。見ると、露地つづきの裏のすぐ彼方に、注連縄の張り廻してある黒い鍛冶小屋の入口がすぐあった。

仕事の権化となっている清麿には、彼女が、小屋へ這入って来たのも知らずにいた。お寿々は彼の姿をそこに見ると、くわっとして、いきなり、

『お前さん! ……。よくもわたしを、お忘れだね。いえさ。よくも、私の姿を見ながら、何日か木挽橋では、逃げましたね』

と、清麿の胸ぐらをつかんだ。

清麿は、驚くよりも、猶、仕事のうつつから醒めないで、

『え。……誰だ。おまえは』

『誰とは何さ』

甲だかく、お寿々は、泣き声をふくんで呶鳴った。

『シラを切るのもいい程におし。別所のお寿々を忘れて、お前さんは済むのかえ』

『あ……おう……お寿々か』

『さ! 話があるから、出ておいで』