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Japanische Klassiker mit Furigana

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いわなのかい

岩魚の怪

田中 貢太郎

Lesen Sie 岩魚の怪 (いわなのかい) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.259 Zeichen · 9 Bildschirme

Aozora Bunko

何人も返事をする者がなかった。そして、仲間同志であちこち顔を見合わしあった。

「殺生はやめるが好い、魚の生命も、お前さん達人間の生命も、おんなしじゃ、なにによらず、生物の生命を奪る者は、その報いを受けずにはおらん、やめるが好い、やめるが好い、私は出家じゃ、嘘を云うて、人を嚇かしはせん」と、僧はまた云った。

「それもそうじゃ、ふん……」と、顔の※い額の狭い男が腕組をして首をかしげながら云った。

「さようじゃなあ、そんじゃ、もうやめるか」と、壮い男の右側にいる顋髯の延びた男が云った。

「まあ飯を喫いながら考えよう」と、僧の前にいる体を曲げた男が云った。

「お坊さんも如何でございます、団子が数多ありますが」と、顔の※い男が云った。

「さようか、それはありがたい、一つ戴こう」と、僧はそこへ坐って杖を傍に置いた。

僧の前にいた男は体を横の方にかたよせて、僧を一座の中へ入れるようにした。その男の右にいた顔の※い男は団子の鉢を僧の方に寄せた。

「これは戴きます」と、僧は団子を三つばかり執って掌に入れながら、その一つをもくりと口に入れて一息にのみくだした。

壮い男はふとその容が眼についたので、お坊さんは空腹であったなと思っておかしかった。