Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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とうげ

峠

土田 耕平

Lesen Sie 峠 (とうげ) von 土田 耕平 (つちだこうへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 3.100 Zeichen · 7 Bildschirme

Aozora Bunko

」というお父さんの返事でした。

「峯はまだ遠いの?」

「もうじきだよ。あの山のかげ。」

とお父さんが指さす方を見ますと山の鼻がけわしく出張って、道はそのかげにかくれています。

お父さんの息が、真白く煙草のけむりかなどのように見えます。太郎さんは、毛布の中から顔を出しました。すると、太郎さんの息も、真白く鼻のさきにひろがって見えます。外套や襟巻のまわりには、息が凍りついて、雪でも降ったようでした。お母さんはお父さんと並んで歩いて居ましたが、その襟もとはやはり真白くなっていました。千代子さんは、毛布の中にすっかり顔をかくして眠っています。

「あれもうあんなにお日さまがさしてきました。」

とお母さんが言いました。見あげると、山の上の雪が、きらきらとかがやいています。お日さまの光は、みているうちに、あちらの山こちらの山とひろがって行きます。とうとう道の上までさして来ました。

山の鼻をまわると、道ばたに小さな家が一軒ありました。古びた縁がわに、お日さまの光が一ぱいにさして、雨戸はかたく閉められてあります。それが峠茶屋でした。冬のうちは里におりてしまって誰も居ないのであります。