Japanische Klassiker mit Furigana
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しまもり
島守
中 勘助
Lesen Sie 島守 (しまもり) von 中 勘助 (なかかんすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.146 Zeichen · 37 Bildschirme
柴舟も畑の農夫もみな帰ったのに秣山に草をくう美しい獣の群はよい草の香に酔いしれて穴に帰ろうともしない。
鳥のしわざか島の脊に小さな蜆の殻がこぼれていた。四つながらみな仰むけに白い裏をみせてるのをなにとはなしにひとつひとつ裏がえしてみる。水色と泥色に染めわけられた波模様を手のひらにのせてみながら戻って机のうえにならべておく。どん栗と貝殻と杉の花とで賑になった机に頬杖をついてぼんやりと魚狗のことを考えはじめた。
南風の強くふく日私は手桶をさげて北浦の水を汲みにいった。いつものようにじっと足もとをみつめて思いに沈みながらしずかに小暗い坂道をおりてゆく。大木の枝はいくえにも頭上を蔽うて空とぶ鳥もこの姿を見ないであろう。幾年となく散りつもった木の葉はそのまま土になって柔に爪先をうずめ、踵は餌をねらう獣のそれのようにすこしの音もたてない。崖の樹木は水をすう化鳥の形に押し合って青暗い淵のうえに頸をのばしている。ふと見れば汀からのりだした朴の木の枝にひとりの女が腰をかけて一心に釣をしている。翠の髪を肩になびけ、瑠璃の翼を背にたたみ、泛子をみつめる瞳はつぶらかに玉のごとく、ゆさりと垂れた左右の脛は珊瑚を刻んだかとうたがう。