Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

あるおんなのしょうがい

嵐・ある女の生涯

島崎 藤村

Lesen Sie 嵐・ある女の生涯 (あるおんなのしょうがい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.846 Zeichen · 96 Bildschirme

Aozora Bunko

おげんは女らしい字を書いたが、とかく手が震えて、これまでめったに筆も持たなかった。書いて見れば、書けて、その弟にやる葉書を自分で眺めても、すこしも手の震えたような跡のないことは彼女の心にもうれしかった。九月を迎えるように成ってからは、一層心持の好い日が続いた。おげんは娘や婆やを相手にめずらしく楽しい時を送ったばかりでなく、時にはこの村にある旧い親戚の家なぞを訪ねて歩いた。どうやら一生の晩年の静かさがおげんの眼にも見えて来た。彼女はその静かさを山家へ早くやって来るような朝晩の冷しい雨にも、露を帯びた桑畠にも、医院の庭の日あたりにも見つけることが出来るように思って来た。

「婆や、ちょっと一円貸しとくれや」

とある日、おげんは婆やに言った。付添として来た婆やは会計を預っていたので、おげんが毎日いくらかずつの小遣いを婆やにねだりねだりした。

「一円でいい」

とまたおげんが手を出して言った。

婆やは小山の家に出入の者でひどくおげんの気に入っていたが、金銭上のことになるとそうそうおげんの言うなりにも成っていなかった。

「そう御新造さまのようにお小遣いを使わっせると、わたしがお家の方へ申し訳がないで」