Japanische Klassiker mit Furigana
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あるおんなのしょうがい
嵐・ある女の生涯
島崎 藤村
Lesen Sie 嵐・ある女の生涯 (あるおんなのしょうがい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.846 Zeichen · 96 Bildschirme
彼女は料理場の方から茶を運んで来る給仕娘にも挨拶した。お力もそこへやって来て、新たに雇い入れたその給仕娘の外に、今は「先生」の下で働いている料理の見習人が四五人もある、とお三輪に話し聞かせた。
お力のいう「先生」とは広瀬さんのことだ。その広瀬さんはお三輪の側へ椅子を引寄せながら、
「なにしろ、この震災の後ですから、食器もまだ思うようなのが手に入りません。これで器が好いと、同じものでもお客さんがうまく味って下さる。今はそれが利きません。そこへ出すものは、何でも正味の料理だけなんですからね。料理人は骨が折れますよ」
「きまったお客さんはおもに京橋時代からの店のお得意です」と新七も母に言って見せた。
「時節が時節ですから、皆さんの来易いようにして、安く召上って頂く。定食が三円、それ以上はお望み次第ということにしています。そりゃ店のお得意とは限っていません、どなたにでも自由に来て頂いています。近いところなら仕出しもしています」
「しかし、お客さんと言いましても、われわれの作ったものを味って下さる方は少いものですね」と言って、広瀬さんは新七と顔を見合せた。「お母さんのように素人でも料理の解る方があるかと思うと、私も張合がある。