Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あるおんなのしょうがい

嵐・ある女の生涯

島崎 藤村

Lesen Sie 嵐・ある女の生涯 (あるおんなのしょうがい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.846 Zeichen · 96 Bildschirme

Aozora Bunko

「お母さん、東京へ出て来たついでに焼跡の方へも行って見ますか」

「あたしは焼跡へ行って見る気はしない。そう言えばあの小竹の店の方でサ、お前さんもこれまでいろいろな方を贔屓にしたろう。ほら、画をかく方だとか、俳諧をなさる方だとか、お芝居の方の人達だとか。ああいうお友達は、今でもちょいちょい見えるかい」

「横内に、三枝に、日下部に――あの連中ですか。店が焼けてからこのかた、寄りつきもしません」

「あんなにいろいろとお世話をしてあげて置いて、こういう時の力にはならないものかねえ」

「唯、新劇場の勝野だけは感心ですよ。わざわざこの食堂へ訪ねて来て、京橋時代にはお世話になった。これはいくらでもないが使ってくれと言って、見舞の金を置いて行きましたよ」

しばらく親子の話は途絶えた。震災後、思い思いに暇を取って出て行った以前の番頭や、小僧達の噂がそれからそれと引出されて行った。その時、お三輪は小竹の店のことを新七の前に持ち出した。それを持ち出して、伜の真意を聞こうとした。

新七は言った。

「お母さんは――結局どういうことを言おうとするつもりなんですかね」

昔者のお三輪には、そう若い人達の話すように、思うことが思うようには言い廻せなかった。