Japanische Klassiker mit Furigana
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さこんのいかり
左近の怒り
Lesen Sie 左近の怒り (さこんのいかり) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.454 Zeichen · 95 Bildschirme
葉子は考えるヒマもなかった。女と一しょに外へ出た。露路をまがって並木通りへでると、例の緑の自動車が待っていた。二人が乗りこむと車はたちまち走りだした。
七時五十分。背の高い青年が芳々亭へ現れた。洋次郎である。彼は葉子の去った反対側の露路を通って来たのである。給仕女をとらえて、
「二十ぐらいの娘が一人で来ていなかった?」
「お見かけしませんでした」
「二十分ぐらい前にいたはずだが」
「お見かけしませんでしたよ」
「そうかい」
洋次郎は援助をもとめにきた葉子と七時ごろキャバレーの前で会って七時半の会見を約したのだ。彼のキャバレーから芳々亨まで歩いても五分ぐらいの距離しかない。七時半にボーイたちにあとをたのんで出ようとすると、マスターによばれた。用があって十分ばかり、出てくるから戻るまで留守番をして電話その他の用をたのむと云いつかったのである。マスターが戻ってきたのは七時四十五分であった。
葉子が来ていないとはフシギであるが、夏川左近という人物が千葉ウジなる人物と会見するのは八時だというからそれまでどこかで様子を見ているかも知れない。洋次郎はフハイダラクしているが、葉子は彼のひそかに自慢の妹だった。