Japanische Klassiker mit Furigana
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さこんのいかり
左近の怒り
Lesen Sie 左近の怒り (さこんのいかり) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.454 Zeichen · 95 Bildschirme
バラのように香り高く、水仙のように清らかで、高い品性と知性にみちているのだ。フハイダラクしている故に、妹を誇りやかに思う慈しみが一層強かった。
七時チョッキリに千葉ウジが手さげカバンをぶらさげて現れた。一番おそかったのは左近である。仕方がない。海の男が銀座八丁の中から一軒の中華料理店を見つけだすのは大仕事なのだ。八時三分だった。芳々亭の扉を排して現れた左近は店の中を見まわした。そのときである。向いのシルコ屋から飛びだしてきて、左近の腰にタックルするように飛びついた小人があった。タコスケである。彼は叫んだ。
「グズグズしてちゃアいけないよ。葉子さんが誘拐されちゃったじゃないか」
「誰に?」
「例の女だよ。例の緑の自動車へ葉子さんを乗っけて行っちゃったんだ」
「追わなかったのか」
「聞き覚えのナンバーの緑の車を見てハッとした瞬間なんだよ。葉子さんが女に押しこまれて走りだしたんだよ。しかしね。ボクの親友の円タク運チャン、ミスター三郎が追跡しているから、行先はやがて分るよ」
その時はもう千葉ウジの姿はいずこともなく消え失せていたのだ。思わずタコスケの前へ駈けつけて、歯をくいしばって二人の話をきいていたのは洋次郎であった。