Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
が、そんな気がしただけで、すぐほかの考えごとにまぎれてしまった。
龍造寺主計という人物には、驚かされたけれど、江戸で、ある人間をさがし出して罰を加えるのだといった彼のことばには、お高は、たいして興味を感じていなかった。おおかた好きな女でもひどいことをした男があって恨みをいだいているようなことであろうと思った。
若松屋惣七は、どこへ行ったのか、まだ帰って来なかった。
お高は、名だけにしろ良人となっている磯五と、ほんとうの良人のように思っている若松屋様とにはさまれている、今の自分の立場を考えてぞっとした。磯五と若松屋の抗争が、音もなく燃えさかる火のようなものに思えて、お高は、じぶんのからだがじりじり焼けてゆくような気がした。
龍造寺主計と対坐していたときのまま、敷居近くにすわって、ぼんやり考えこんでいた。
おもての金剛寺坂を、何かうたいながら、三味線をひいて行く、男と女の声がしていた。お高は、それを聞いて、流しの芸人夫婦を想描した。その雨をも風をも分け合っているすがたをお高はうらやましく感じた。何もかも知りあい話しあって、この世の中の重荷をいっしょにかついで行く相手のある人が、いちばんしあわせなのだと思った。