Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
磯五のことが、心に浮かんだ。磯五という人は、女の口に口を当てて、誠実を吸い取りながら、心で他の女のことを考えている、恐ろしい人だと思った。自分がそれに気がつかなかったように、いまおせい様はそれに気がつかないでいるのだ。
おせい様ばかりではない。あの妹に化けているお駒という女も、すっかり磯五のものになっているのだろうが、磯五の人柄には気がつかずに、女のほうから打ち込んでいるに相違ないのだ。お高は、磯五が、女の毒にあてられてからだがきかなくなればいいと思った。
そんなことより、お高としては、若松屋惣七をこの急場から、救いさえすればいいのだ。それには、どうしたらいいか。若松屋惣七は、まだあのおせい様の手紙を見ないのだから、おせい様が矢のように金の督促をするかげに、磯屋五兵衛が糸を引いていることは知らないのである。
これだけは知らせたくないと思って、お高は、こんなに苦心をしているのだが、ああしておせい様のほうが、だめになった以上、今度は、磯五ひとりに会って、まごころをこめて頼むよりほかはあるまい。まごころは必ず人を打って、人を動かすはずである。磯五とて、人間には相違ないのだから、ことによったら理解をして、おせい様を通して若松屋さまをいじめることを思いとまってくれるかもしれない。