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Japanische Klassiker mit Furigana

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こうせつきょうほうずえ

巷説享保図絵・つづれ烏羽玉

林 不忘

Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme

Aozora Bunko

ふと磯五に惹かれるものが、お高の身内にちらとひらめいた。それは、忘れていた磯五であった。お高は、たぐり寄せられるように、磯五のほうへ引っ返しかけた。そこへ強い風が吹いたので、お高は、風に押されて、ころがるように、よろよろと意外に磯五の近くまで来てしまった。

磯五は衣かけの松をくぐって、むこう側へ出ていた。そこは、樹にかこまれて、どこからも見えないところであった。磯五は羽織を脱いで、ふわりと草の上にひろげていた。

四

それを見ると、お高は、はっとした。いそいで磯五に背中を向けて、風にさからって走り出した。うしろで何かいう磯五の声がしていた。ばらばらと衣かけの松を離れて、追っかけてくる気はいであった。お高は、口をあけて風をのんで、駈けつづけた。夢中であった。

樹のあいだを縫って逃げるので、いきなり眼のまえにあらわれる立ち木を、すばやくかわすのが大変であった。お高がその樹々のあいだをすり抜けるときは、踊りの手ぶりのように見えた。すぐうしろに、磯五のあし音が迫ってきているような気がした。何度も、声をあげようかと思った。

実朝公の碑のまえから、もと来た参詣みちへころび出たところで、お高は精がつきて、地面へくずれようとした。