Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
「ちっ。のんきだな。聞いていれば、この若松屋を、ひと手に渡そうという、最後の場合ではないか。よほどこみ入った事情があるらしいことは、わたしにもわかるが、もうすこし、何とかして踏みこたえてみる気はないのかな。惜しい」
若松屋惣七の顔は、見るみる冷笑がひろがった。武士に、何がわかる。さむらいというものは、人を斬り殺すことを考えるか、もったいぶって見せかけて、それで、ただで衣食することを考えるか、していればいいのだ。
草のように蒼い若松屋惣七の顔が、龍造寺主計の声のしたほうを、さがした。儀礼と嘲笑だけを、含んだ声だ。
「御厚志は、かたじけない」若松屋惣七は、武士に対すると、いつのまにか、前身が出るのだ。口のきき方まで、武家出らしく、角張ってくるのだ。そうでなくても、不愉快なことがあると、いつもいかつい口調になる。それが今は、武士に対して不愉快なのだから、二重に不愛想なのだ。にべもなく、いった。
「知らぬことには、口出しをなさらぬがいい」
お高は、はっとして、龍造寺主計をふり向いた。が、お高の心配は、むだであった。
龍造寺主計は、剣術の稽古か何かに、思いきり気もちよく一本やられたときのように、かえってうれしそうに、にこにこしていた。