Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
お高が困って起こしに立とうとすると、庄之助さんもお婆さんもあおぐような手つきをしてとめた。
まわりの田畑があまりきれいなので、お高が、そのことをいうと、庄之助さんは得意げに笑うのだ。
「地主さんがわかった人ですから、わたしどもも大助かりなのです。江戸の後家さまでおせい様というのです」
お高は、過去が一時に頭の上に落ちてきたように感じて、ぎょっとした。
「江戸のおせい様といって、それは雑賀屋のおせい様でございますか」
わかりきったことをきいた。庄之助さんがうなずくとお高は、暗い心になった。識っているのかときいた庄之助さんには、ただ聞いたことのある名だとだけ答えて、お高は、いそがしく考えていた。庄之助さんは、その、お高の変化には気がつかずに、手を伸ばして、裏手の田んぼの中に木に囲まれて建っている上品な構えの家を指さした。
「あれがおせい様の出寮でございますよ。おせい様はときどきおみえになりますです。今も、保養かたがた来ておいでですよ」
お高は、きょうのせっかくの行楽と、このいい景色にしみがついたように思われて、情けない気がした。おせい様がここの寮に来ているなら、磯五も来ているであろうと思った。