Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
星影一刀流に落葉返しの構えという一手を加えた名誉でさえあった。
磯五は、それを知らないから切りかかっていったのだが、若松屋惣七は、驚かないのだ。半ば盲目だけれど、剣気だけは不思議とはっきり感じ、白刃のしごきは、心眼が見えるのである。一度眼で見たものを脳へ伝えるのではなく若松屋惣七のは、直接あたまで知るのだから、若松屋惣七のほうが、普通人より秒刻早いのだ。
磯五が、女のように白い腕をふって斬りこんで行ったとき、若松屋惣七は履物を脱ぎすててうしろに飛びさがっていた。同時に、手にしていた自物木の杖を青眼にとって、にやにや笑っていた。そして、
「あぶない、あぶない」
といった。
それは、磯五のことをあぶないといったのか、自分のことをあぶないといったのか、磯五にはわからなかったが、仕損じたことだけは確かなので、磯五はいらだった。
すぐ追い迫ろうとしたけれど、鼻の前へ来て生き物のようにびくびく微動している杖の先が、ひどく邪魔になった。その一本の曲がり木が、磯五には、巾の広い板のように見えて、若松屋惣七のすがたが隠れてしまうような気がした。その向こうに、蒼い若松屋惣七の顔がほほえんでいた。