Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
近くの枝から枝へ、濡れた鳥の声がするのだ。しいんと遠のいた江戸の巷音だ。はねつるべの音がしていた。その、番傘をさして水をくんでいる国平の番傘が、青桐の幹のあいだに、半分だけ見えていた。
「拝領町屋のおせい様の家へ行って、当分おせい様といっしょにくらす考えでございます。おせい様はお可哀そうでございますよ。おせい様は、ああして歌子さまと旅には出たものの、あきらめ切れないで帰っておいでなすったのでございます」
「あきらめ切れずにと申して、磯五のことか」
「はい。おせい様はまた、あの五兵衛さんのことを想っていらっしゃるのでございますよ」
「女というものは不思議なものだな。また、かの磯五のごとき男が、女をつかんで離さぬ力も、考えてみれば、不思議な気がする。いや、どちらも不思議なことはないのかもしれぬが」
「おせい様が磯五のことを思い切れずにいるものですから、わたくしがおせい様のところへ行くと、おせい様を苦しめるようなもので、いつも、長くはいられないのでございます」
「そんなところへ行かんでもよいではないか。何ゆえさように食客のようなまねをして歩こうというのだ。金はどうしたのだ」