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Japanische Klassiker mit Furigana

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こうせつきょうほうずえ

巷説享保図絵・つづれ烏羽玉

林 不忘

Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme

Aozora Bunko

湯灌場物が主だが、場所柄お顧客にはお屋敷が多いから、主人の好みも見せて、店にはかなり古雅なものがならべてある。刀、小道具、脇息、仏壇、おのおのに風流顔だ。

正面、奥とのさかいに銀いぶし六枚折りの大屏風、前に花梨の台、上に鎧櫃が飾ってある。黒革張りに錠前角当ての金具が光って、定紋のあったとおぼしき皮の表衣はけずってあるが、まず千石どころのお家重代のものであろう。女はこれへ眼をつけた。

「ねえ、あの鎧櫃を売っておくれよ」

こう甘えるように身をくねらせて、畳の上へ乗り出して来る。閑山は笑った。

「うん。売ってやろう。が、何にしなさる?」

当惑の色が女の顔に動いた。それはまたたくまに笑い消して、鈴をころがすように屈托なげな高調子。

「ほほほほほほ、いいじゃあないの。売り物を買おうというのにそんな詮議だてはいらぬお世話さ」

「ははは、おおきに――」

「けれども、お爺つぁんだから話して上げよう」と女はちょっと真顔になって、「あたしゃもう何もかもいやになった。いっそあの中へはいってどこかへ行ってしまいたいのさ」

閑山老は眼をぱちくり。

――これは、ことによるとき印しかな?