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Japanische Klassiker mit Furigana

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こうせつきょうほうずえ

巷説享保図絵・つづれ烏羽玉

林 不忘

Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme

Aozora Bunko

惣七は、平然とお高をかえりみた。

「心配いたすな。間男といえば、間男に相違ないのだ。痛くもない。なぐらせてやるのだ」

「何をへらず口を!」

磯五の拳が、あられのように惣七の面上に下った。惣七は、磯五の手をよけようともせずに、しっかりすわって、しずかに証文を破っていた。蒼白く笑っていた。

「佐吉、国平、刀を持て!」

彼は、そう叫びたかったが、何か考えでもあるのか、そう叫ぶかわりに、じっとくちびるをかんで、磯五の拳を受けつづけていた。

「ああ、すまない! それではすみません!――」

お高が、泣きじゃくって、再び磯五にむしゃぶりついたが、たちまちはねのけられてしまった。

お高の泣き声と、磯五が若松屋惣七をなぐる音とが、しばらく入りまじって聞こえていた。

磯五がなぐり終わったとき、惣七は証文をやぶり終わっていた。

惣七は、手の上の紙きれをふっと吹いた。雪のように飛んだ。惣七は、ところどころ色の変わった顔を上げた。笑っていた。

「磯屋さん、もういいのかね?」

五

若松屋惣七という人間は、妙な人間だ。ときとして、こんなに鉄のように固いのだ。すこしも感情を外へあらわさない。