Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
里好子、寝言に事寄せてみごとに名乗りを上げた。これで女は結句安心したとみえる。
「そうかえ、おおかたそんなところだろうと思ったのさ」
格別面白くもなさそうだが、伝法なことばづかいはもう里好を仲間扱いにしている。
「そんならこれから親分さんと呼ぼうかねえ」
里好が眠たまねをしているせいか、どうも女のほうが一桁上を行ってるようだ。
「よしてくれ」と里好はまだ合の手に鼾を入れて、
「こうやきがまわってはあがったりだ。今日なんかも、この手を引く拍子に小指が襟へかかってな、それであの野郎に感づかれたらしい。脚の早えやつだったよ。すんでのことで追っつかれるとこだったが、ついぞない自分の失敗を考えると、わしは安閑としてはいられないのだ。このごろおっかねえ風が吹いて来たぜ」
「ほんとにねえ。そういえばあの男、気になる眼つきをしていたよ」
と女もちょっとしんみりする。
「あんたは姿見の井戸てえのを知ってるかね」
きいたのは里好である。
「何だい、その姿見の井戸とかってのは」
「井戸の底だ。江戸じゅうの大悪党の寄り合い場。御存じかな」
「初耳だねえ。どこにあるのさ」
「井戸の底にあるのだ。