Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
文次は真っ二つ! と思いきや、どっこい! 賊の刀は上がり口の板をかんで、余勢がざあっ! と畳を切り開いたばかり。
文次のからだはもう奥との通路の暖簾口にあった。と、そこに、覆面の黒装束が立っている。ふところ手だ。
ぴたっ! 顔と顔、文次と侍、しばしにらみ合いの体だ。文次のうしろには、一刀を取り構えた見張りの賊が、退路を断って凝然動かない。蒼白い文次の顔、そいつがにっこりした。
「津賀閑山に用があって参りました者。そこをお通しください」
「閑山はおらぬ、用とは何だ」
「閑山はおらぬ? そんなわけはありませぬ。要談の約がありますゆえ、待っておりますはずで――」
「黙れ! おらんからおらんと申す。それともはいって、自身が見届けねば得心せぬというのか」
「閑山に会って話があります」
「閑山に会っても話はできんぞ」
「どうしてですね?」
「そのわけか。うん、見せてやる。こうだ!」
つと侍が身をどかすと、狭い一間の行燈のそばに、閑山と飯たき久七、二人ともぎりぎりにしばり上げられて、おまけに猿轡をかまされてころがっている。河岸へ鮪が着いたようで、あんまりほめた景色じゃない。