Japanische Klassiker mit Furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lesen Sie 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 365.120 Zeichen · 728 Bildschirme
あとから守人が、これはかげを選んでつけているのだ。御免安兵衛は、この二つの人影へ、焼けつくような視線をすえて、陶山流でいう忍びの歩行稲妻踏み、すなわち、路の端から端へと横走りながら、しばしとまってまた斜めに切り進んで行く。
安兵衛、尻をからげて、両手を膝に、やみを通して見極めをつけておいては、つつつと小走り、まるで鼬だ。これではよもやみつかるまい。
「げっ! 影屋敷だぜこれあ。影屋敷へ御帰館と来やがらあ。それあいいが、あの二番目の侍だ。あいつがこう乙な声を出して、率爾ながらしばしお待ちを願う、お呼びとめありしはそれがしか――なんてことになると面白えんだがなあ。仇敵討ちだぜ、きっと」
口のなかでぶつぶついっては、お手のものの稲妻踏みだ。のんきな野郎。
月光が水のようだ。雲は切れたらしい。
立売坂の中腹、ちょうど饗庭の影屋敷のすこし手前に当たって、左手に草原を控えたちょっとした平地がある。遊佐銀二郎がその地点へ踏み入れたときだった。かれはうしろに当たって、低い太い声をはっきりと聞いた。
「遊佐氏、遊佐氏ではないか」
自分の名前というものは争われない。聞かぬふりをしようとしても、足のほうが正直だ。