Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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へいぼん

平凡・私は懐疑派だ

二葉亭 四迷

Lesen Sie 平凡・私は懐疑派だ (へいぼん) von 二葉亭 四迷 (ふたばていしめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.548 Zeichen · 161 Bildschirme

Aozora Bunko

ああ、初て部屋へ来た時、何故私は物を言わなかったろうと、千悔万悔、それこそ臍を噬むけれど、追付かない。然るに、私は接近が出来ないで此様なに煩悶しているのに、隣の俗物は苦もなく日増しに女に親しむ様子で、物を言交す五分間がいつか十分二十分になる。何だか知らんが、睦まじそうに密々話をしているような事もある。一度なんぞ女に脊中を叩かれて俗物が莞爾々々している所を見懸けた。私は気が気でない……

藻掻いていると、確か女が来てから一週間目だったかと思う、朝からのビショビショ降りが昼過ても未だ止まない事があった。鬱陶敷て、気が滅入って、幾ら書いても思う様に書けないから、私はホッとして、頭を抱えて、仰向に倒れて茫然としていたが、

「早く如何かせんと不好!」

と判然と独言をいって起反った。独言は小説に関係した事ではないので、女の事なので。

すると、余り遠くでない、去迚近くでもない何処かで、ポツンポツンと意気な音がする。隣の家で能く琴を浚っているが、三味線を弾いてた事はない。それに隣にしては近過ぎる。家には弾く者は無い筈だが……と耳を澄していると、軈て歌い出す声は如何しても家だ。