Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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へいぼん

平凡・私は懐疑派だ

二葉亭 四迷

Lesen Sie 平凡・私は懐疑派だ (へいぼん) von 二葉亭 四迷 (ふたばていしめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.548 Zeichen · 161 Bildschirme

Aozora Bunko

何だかもう赫となって、夢中で、何だか霧にでも包まれたような心持で、是から先は如何なる事やら、方角が分らなくなったから、彷徨していると、

「貴方は遠慮深いのねえ。男ッて然う遠慮するもンじゃなくッてよ。」

と何にも知らぬ雪江さんが焼芋の盆を突付ける。私は今其処どころじゃないのだが、手を出さぬ訳にも行かなくなって手を出すと、生憎手先がぶるぶると震えやがる。

「如何して其様に震えるの?」

と雪江さんが不審そうに面を視る。私は愈狼狽して、又真紅になって、何だか訳の分らぬ事を口の中で言って、周章てて頬張ると、

「あら、皮ごと喰べて……皮は取った方が好いわ。」

「なに、構わんです」、と仕方が無いから、皮ぐるみムシャムシャ喰りながら、「何は……何処へ入らしッたンです?」

「吉田さんへ」、と雪江さんは皮を剥く手を止めて、「私些とも知らなかったけど、今晩が春子さんのお輿入なんですって。そら、媒人でしょう家は? だから、阿父さんも阿母さんも早めに行ってないと不好って、先刻出て行ったのよ。」

これで漸く合点が行ったが、それよりも爰に一寸吹聴して置かなきゃならん事がある。私は是より先春色梅暦という書物を読んだ。