Japanische Klassiker mit Furigana
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へいわへのにやく
平和への荷役
宮本 百合子
Lesen Sie 平和への荷役 (へいわへのにやく) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.799 Zeichen · 23 Bildschirme
――船が嵐にあって沈まないためには積荷が均衡をもって整理されていることが必要である。――
わたしたちのまわりに、また戦争に対する恐怖が渦まきはじめた。一部には、その恐怖が病的にさえ高まってゆきつつある。それだのに、どうしてその戦争に対する恐怖の激しさに相当するだけの、きっぱりした戦争拒否の発言と平和の要望が統一された世論としてあらわれて来ないのだろう。兵火におびえる昔の百姓土民のように、あわれにこそこそと疎開小包をつくるよりさきに、わたしたちは落付いて観察し判断するべきいくつかの重大なことを持っていると思う。わたしたち自身を恐慌から救うために――
日本人の心には、戦争を一つの「災難」のように思う習慣がないだろうか。しかも、どこかに投機的な期待をそそられる気分も動く災難のように。
明治からこんどの戦争までに日本の政府は日清、日露、第一次世界大戦、そのほか三つ以上の戦争を行った。日清戦争、日露戦争は国民全体にとって記憶のふかい戦争だとされているが、それにしても決して当時の日本のすべての人民の意見による賛成決定で行われたことではなかった。明治、大正時代の日本資本主義の興隆期に向っていた権力者たちが、中国と当時のロシアに対して他の列強資本主義が抱いていた利害関係との一致において敢行したことだった。