Japanische Klassiker mit Furigana
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ひらがげんないとりものちょう
平賀源内捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 平賀源内捕物帳 (ひらがげんないとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.159 Zeichen · 39 Bildschirme
源内先生は、あまり機嫌のよくない顔で、空の一方を睨んで突っ立っていられたが、だしぬけに、ひどく急き込んだ調子で、
「よし、わしも覚悟をきめた。こういう愚なことで、わしが損害を受けるのは、如何にも馬鹿馬鹿しい話だから、わしのやれるだけのことはやってみるつもりだ。伝兵衛、お蔦という娘の部屋はどこだ。わしが行って探してやる」
金唐革の文箱に、大切そうに秘めてあった一通の手紙。
浜村屋の屋号透しの薄葉に、肉の細い草書きで、今朝、参詣旁々、遠眼なりともお姿を拝見いたしたく、あわれとおぼしめし、六ツ半ごろ、眼にたつところにお立ち出でくだされたく、と書いてある。
源内先生は、ジロリと伝兵衛の顔を振仰いで、
「これで引っかかりだけついたようだな。市村座は今日が初日。もちろん小屋入りをしているだろう。さア、これからすぐ乗込んで行こう。……ことによれば、ことによるぞ」
葺屋町へ入って行くと、向うから坊主頭を光らせながらやって来たのが、浅草茅町に住む一瓢という幇間。源内先生の顔を見るより走り寄って来て、いきなり、両手で煽ぎ立てながら、
「いよウ、これは大先生。いやもう、大人気、大人気。