Japanische Klassiker mit Furigana
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ひらがげんないとりものちょう
平賀源内捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 平賀源内捕物帳 (ひらがげんないとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.159 Zeichen · 39 Bildschirme
気になさるといけないと思ったから、このことだけは隠していたんだが。三日と八日と、それから今日。……きてれつな死に方をした、この三人の娘たちはみな源内櫛を挿しているんです」
「それはどうも、怪しからん」
「そんなことを言ったってしようがない。これがパッと評判になって、源内櫛を挿した娘に限って殺されるなんてえことになったら、わざわざ長崎から伽羅を引き、二階の座敷を木屑だらけにして櫛を梳かせ、何とかこいつを流行らせようというので、一瓢を橋渡にして、吉原丁字屋の雛鶴太夫に挿させたまでの苦心の段が水の泡。それやこれやで、ぱったり売れなくなり、千二千と作った櫛がまるっきりフイになる。……そんなことになったら、あなただってお困りでしょう」
「そりゃ困る。そもそも、物産や究理の学問は、儒書をひねくるのとちがって、模型を作ったり、究理実験をしたり、薬品の料だけでも並々ならぬ金がいる。そういう費用を捻出しようと思って、あんなものを売出したのだから、その方がばったりいけなくなると、従って、究理実験の途も止まるわけで、わしとしても甚だ迷惑する」
「ですから、他人ごとみたいに言ってないで、先生も、いちばん、身をお入れにならないじゃならねえ場合だと思うんです」