Japanische Klassiker mit Furigana
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ひらがげんないとりものちょう
平賀源内捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 平賀源内捕物帳 (ひらがげんないとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.159 Zeichen · 39 Bildschirme
尤も、ちょっとひとの考えつかぬような図外れたことばかり思いつかれる先生のことだから、迂濶に景色を眺めているというのではあるまい、何かそれ相当の変った方寸があられるのだとも察しられるのである。
呆気にとられ、あんぐり開いた伝兵衛の口に、春の風。
あふッ、と息を嚥んで、
「先生、……平賀先生、あなたはまア、そんなところで一体何をしていらっしゃるんです」
先生が湯島天神から白壁町へ引っ越して以来の馴染なので、伝兵衛は遠慮のない口をきく。先生の方では下らん奴だと思っていられるかして、どんなことを言っても怒ったような顔もしない。
これでよく御用聞がつとまると思うほど、尻抜けで、気が弱くて、愚図で、とるところもないような男だが、芯は、極く人がよく、何でもかんでも引受けては、年中難儀ばかりしている。
寝惚先生こと、太田蜀山人のところへ出入して、下手な狂句なども作る。恍けたところがあって、多少の可愛気はある男。
伝兵衛が背伸びをしながら、金唐声でそう叫び掛けたが、先生は遠眼鏡の筒先を廻しながら、閑々と右眄左顧していられる。
伝兵衛は、業を煮やして、
「実際、あなたの暢気にも呆れてしまう。