Japanische Klassiker mit Furigana
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ひらがげんないとりものちょう
平賀源内捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 平賀源内捕物帳 (ひらがげんないとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.159 Zeichen · 39 Bildschirme
いくらなんだって、正月の十六日に五重塔のてっぺんで、アッケラカンと筒眼鏡などを使っているひとがありますか。そんなところでいつ迄もマゴマゴしていると、鳶に眼のくり玉を突ッつかれますぜ。……ねえ、先生、いったい何を見物しているんですってば。……じれってえな、返事ぐらいしてくれたっていいじゃありませんか」
のんびりした声が、虚空から響いて来る。
「わしはいま和蘭陀の方を眺めておるのだて」
「うへえ、そこへ上ると和蘭陀が見えますか」
「ああ、よく見えるな」
「和蘭陀のどういうところが見えます」
「港に沢山船がもやっているところを見ると、どうやらへーぐというところらしいな」
「こいつア驚いた。……するてえと、なんですか、向うもやっぱし正月なんで」
「日柄には変りない。ただし、向うはいま日の暮れ方だ」
「おやおや、妙だねえ。どんなお天気工合です」
「大分に雪が降っているな」
「蒸籠に脛が出たたア、何のことですか」
「いや、たんと雪が降っておるというのだ。……おお、美人が一人浜を歩いている」
「えッ、美人が出て来ましたか。いったい、どんなようすをしています」
「高髷を結って、岡持を下げている」