Japanische Klassiker mit Furigana
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ひらがげんないとりものちょう
平賀源内捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 平賀源内捕物帳 (ひらがげんないとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.159 Zeichen · 39 Bildschirme
また、前の年の秋頃から、時々、浅間山が噴火し、江戸の市中に薄すらと灰を降らせるようなこともあったので、旁々、何か天変の起る前兆でもあろうかと、恟々たるむきも少くなかった。
雪の遅い年で、正月三日の午すぎ初雪が降り、二寸ほど積って止んだ。
根津の太田の原に、不思議な人殺しがあった。
藪下から根津神社へ抜ける広い原に、夏期は真菰の生いしげる小さな沼がある。
その沼の畔から小半町ほど離れた原の真中に、十七八の美しい娘が頭の天辺から割りつけられ、血に染まって俯伏せに倒れていた。
何か鋭利な刃物で一挙に斬りつけたものらしく、創口は脳天から始まって、斜後に後頭部の辺まで及んでいる。
細身の刀か、それに類似した薄刃の軽い刃物で斬りつけたものと思われるが、歩いているところを、後からだしぬけに斬りつけたのだとすると、創口の工合から見て、当然、相当長身の者の仕業だと察しられ、長さの割合に創口が深くないのは、あまり臂力すぐれぬ者がやった証拠である。
ただ、創口の一個所に鈍器で撃ったような抉れがある。こんなところを見ると、刃物でやったとばかし思えぬような節もある。しかし、それも、二つにわけて考えれば、たやすく解決される。