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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひらがげんないとりものちょう

平賀源内捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 平賀源内捕物帳 (ひらがげんないとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.367 Zeichen · 36 Bildschirme

Aozora Bunko

……死にたくないから。……あなた、あなた……」

それでも膝を乱すまいとして両膝を縮め無心に裾をかばっている。哀れなので。

乙平は一目見て、これは、もういけないと思った。気儘から謡の先生などをして暮しているが一廉の心得のある武士だから、生じい生命を庇おうと狼狽えまわるより、今のうちに聞くだけのことを聞いて置く方がいいと思ったので、左腕を背へ廻して女の上身を引立て、膝でそっと支えてやって、

「お内儀、お内儀、何をこれしきの傷。死にはしないから、気を確かに持ちなさい」

「は、はい……」

薄ッすらと眼を開けたが、すぐまた、がッくりとなるのを引起すようにして、乙平、

「弱ッちまッちゃいけない。それじゃ亭主に逢えんぞ。確ッかりしなさい」

亭主という声が届いたのか、起上ろうと両手を泳がせながら、

「だい、じょうぶ……」

「おう、元気が出たな、物が言えるか」

うなずいて、

「い、言えます」

「殺したのは誰だ」

「……陳東海……」

「この家の主人だな」

また、こッくりと頷いて、

「……襖の向うから、あたしが挨拶しますとね、襖を明けてお入りッて言いますから、何の気もなく、襖を明けますと、どうしたというのでしょう。