Japanische Klassiker mit Furigana
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ひらがげんないとりものちょう
平賀源内捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 平賀源内捕物帳 (ひらがげんないとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.367 Zeichen · 36 Bildschirme
陳東海は、宝暦の初めごろから唐船の財副になって交易のため幾度となく長崎に来、宝暦十一年から明和二年迄の四年の間、長崎の唐人屋敷に住んでいた。その年の春、急に故郷の浙江県へ帰り、二年置いた明和五年の春、また長崎へやって来たが、たいへんに日本語が巧なので長崎奉行から唐通詞を依頼され、古川町の闕所屋敷を貰ってそこに住んでいた。
陳東海は浙江県寧波の大金満家の次男で、学士の試験に落第してから志を変えて交易に身を入れるようになった。尤も、それとても半分道楽のようなもので、日本の景物に親しむのが主な目的だった。たいへん日本の風儀を好んで、寧波にある自分の家は日本風の二階造りにして畳を敷き、日本の膳椀食具を使い、烹調料理の品味もすべて日本の儘にやっていた。
家柄のある家に生れたので眉目秀麗で、如何にも貴公子然としており、立居振舞も鷹揚で、また品がよく奥床しかったから、己惚面をした美男の評判のある長崎の小小姓などは足元にも寄れぬくらいだった。
何と言っても、通詞という官位を持っているのだから番屋調べをするというわけには行かない。伝馬町の揚屋に入れて手酷しく調べ詰めたが、どうしても自分が殺したとは言わない。