Japanische Klassiker mit Furigana
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げんじゅつてんまたろう
幻術天魔太郎
野村 胡堂
Lesen Sie 幻術天魔太郎 (げんじゅつてんまたろう) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.616 Zeichen · 90 Bildschirme
「お話は、私にわかりかねますが、どうしたら私は、百人のいのちを助けることができるでしょう」
天魔太郎には、心外道人のいうことが、はっきりのみこめないようすです。
「それは、私がいちいち教えるまでもない。おまえの心にきいて、その場その場できめてゆくのだ。――たとえば、あれだ」
心外道人の指さすほうを見ると、この山の広場につうずる、石の洞窟の戸をあけて、ひとりの少女が、旅すがたもかいがいしく、あたりのようすを見まわし見まわし、こちらのほうにちかづいてくるのです。
「あれは、お師匠さま」
「おまえたちも知っているはずだ。お城大工の棟梁、泉田筑後のむすめお千代だ」
「あ、お千代さんよ、おにいさま」
月子はもう、旅の少女の顔を見ると、心外道人の思惑もかわまず、ぞうりをつっかけて、山の草ばなの咲きほこるなかを、洞窟の入口のほうにかけてゆくのです。
「どうしてお千代さんがこんな山の中へきたんでしょう」
「私が呼んだのだよ。お千代の父うえ、お城大工の棟梁泉田筑後は、おまえに千代田城大奥の絵図面をかしたことが知れ、内儀(妻)の操といっしょにしばられて、伝馬町の牢にいれられ、日夜の責め問いに、いのちも危くなっているのだよ。