Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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げんじゅつてんまたろう

幻術天魔太郎

野村 胡堂

Lesen Sie 幻術天魔太郎 (げんじゅつてんまたろう) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.616 Zeichen · 90 Bildschirme

Aozora Bunko

「それはお気の毒。私が名のって出るほかはあるまいな」

「あれ、お兄さま」

月子はおどろいてとりすがりました。純情少年の兄天魔太郎は、自分のためにめいわくしている多勢のひとを見るといのちを投げだして名のってでる気になるのでしょう。

「太郎さん、そんなことでは、多勢のひとを助けられそうもありません。ほかによい工夫はないでしょうか」

お千代も月子と力をあわせて、天魔太郎のはりきった袖をおさえるのでした。

「なんだ、この野郎が将軍さまの首をねらった大悪党か。きやがれ、おまえのために旦那さまは殺されかけているんだぞ」

小僧の虎吉はまたたいへんなことをいいはじめます。

「おまえの知ったことではない、だまっておいで。それより人にすがたを見られないうちに、おばさんのところへでも――」

お千代は虎吉をなだめて、天魔太郎、月子と四人づれ、神田鍛冶町のおばさんの家に人目をしのんでたどりつきました。

そこから伝馬町の大牢までは、そんなに遠いところではなく、天魔太郎は、いちど落ちついて、妹やお千代のことをたのむと、日ぐれも待たずに出動して、何やかやとさぐりはじめました。

さいわい、ならいおぼえた幻術で、めったなことで人にすがたを見られるようなことはありません。