Japanische Klassiker mit Furigana
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げんじゅつてんまたろう
幻術天魔太郎
野村 胡堂
Lesen Sie 幻術天魔太郎 (げんじゅつてんまたろう) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.616 Zeichen · 90 Bildschirme
橋の下に船頭の権六が舟を用意してまっている。舟には赤い風呂敷で鉢巻をさせたちょうちんがついているはず、あとはみんなぶじに顔をそろえてから……」
天魔太郎はことばせわしく説明して、八方に奉公人たちを散らし、最後に、お千代とともに、母の操もまた、ちがった道から江戸橋へ逃してやりました。
「サア、こんどは侍牢だ」
天魔太郎と月子と虎吉の三人、大猿の次郎坊をしたがえて、神楽笛の小さな旋律を、風雨にまぎれて吹きつづけながら大牢から女牢へ、侍牢へとさがしましたが、どこにもその笛の音さえ記憶している者はなく、むなしく夜はふけて、気ばかりあせってくるのです。
とある牢格子の前までくると、
「おい、坊ちゃんたち、さっきからここを三度もまわっているようだが、コソコソ話のようすじゃ、泉田筑後をさがすんじゃないか」
こうよびかけたものがあります。
「誰だ、おまえは?」
牢格子の内と外、天魔太郎は声をはげましました。相手の調子が、ひどくいやしくて、ごろつき風なのが、格子をへだてていても、天魔太郎を警戒させたのです。
「つまらねえ野郎ですよ。腹をたてて、悪い役人の横ビンタをなぐって、こんなところに投りこまれたんだが、酔ってさえいなきゃ、虫一匹殺すものですか」