Japanische Klassiker mit Furigana
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げんじゅつてんまたろう
幻術天魔太郎
野村 胡堂
Lesen Sie 幻術天魔太郎 (げんじゅつてんまたろう) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.616 Zeichen · 90 Bildschirme
野州の熊五郎は、まごころこめてこういうのです。
「あんなにいうんだから、仲間にしてやってくださいよ。桃太郎だって犬、猿、雉子の家来が三人、辻講釈できくと、西遊記の三蔵法師にもけらいは三人、孫悟空に猪八戒に沙悟浄」
虎吉は一生けんめいとりなしてやるのです。
「よしよし、虎吉といっしょに手つだってもらってもいいが、そのおみやげの話というのはなんだ」
天魔太郎もようやくその気になったようです。
「お首領は大奥の中老、出雲さまのことを心配していたでしょう。あっしは、出雲さまの実家は仲通りの呉服屋増田屋とききだし、それとはなしに見張っていると――」
「出雲どのがどうした? あれはなき母上の縁故のもので、千代田の大奥のことを、なにかとこの駿河太郎に教えてくれた恩人だが」
天魔太郎もおもわずのりだした。
「そのことがわかって、宿もとの増田屋にさげられ、お上のご沙汰をまっております。かるくて追放、重ければ死罪、お上のおはらだちは容易ではないから、まず命はあるまいということです」
「――――」
「増田屋は店をしめたまま、八方から見張られて、火の消えたありさまです。なんとかするならいまのうちで……」