Japanische Klassiker mit Furigana
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げんじゅつてんまたろう
幻術天魔太郎
野村 胡堂
Lesen Sie 幻術天魔太郎 (げんじゅつてんまたろう) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.616 Zeichen · 90 Bildschirme
ひともみ、ふたもみするうちに、駿河太郎はなんとかしてここをぬけだし、おもむろに再挙をはかろうとしましたが、刻一刻相手の人数はくわわるばかり。
「えッ、もうがまんがならぬ」
三人でも五人でも切ってすてようと思いましたが、腕はできても、血を流すことのきらいな駿河太郎、最後のこころみとしてのこる手段はたった一つ、絵図面にあった本丸の空井戸をさがしだし、それにとびこんで、城外の人しれぬ場所にぬけだそうとしたのです。
でも、そのころの本丸には七つの井戸があり、いずれもおそろしく深いのですが、そのうちのどれが空井戸で、城外へのぬけ道になっているか、よういのことではわかりません。
駿河太郎あせりにあせりましたが、前々からの熱心な研究がものをいって、大奥の泉水のほとり、風情をつくした石どうろうのかげに、それらしい井ゲタを見つけると、片手に一刀をふりかぶって、むらがる宿直の衆をきりはらいながら、思いきって井ゲタの中へ、ポンととびこんでしまったのです。
が、その中に、ふだんは網がはられてあるということは、駿河太郎の智恵でも、夢にも思いおよびません。
「それッ、手捕りにせい」