Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ふくいんさつじんじけん

復員殺人事件

坂口 安吾

Lesen Sie 復員殺人事件 (ふくいんさつじんじけん) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 96.621 Zeichen · 195 Bildschirme

Aozora Bunko

「まだ正式にはありませんが、ブロバリン、カルモチン、バルビタール、そのへんのごく有りふれた薬らしいそうです」

と、大矢主任が口添えした。

「そうそう。私もそう思いましたよ。砂糖壺にも、二種類ぐらいの催眠薬がはいっていたのじゃないかな。今、仰有った薬だったら、みんな味がないし、むしろ、ちょいと甘味があるぐらいです」

「その催眠薬で、何かお気付きですか」

と、巨勢博士。

「イヤ、それがね。みんな極めて通俗的な催眠薬だということですよ。あの程度の催眠薬なら、むろん劇薬ですが、案外カンタンに薬屋で売るかも知れません。昔はひところカルモチン自殺が流行しましたが、みなさん警察の方だから御承知かも知れませんが、先ず、生きかえりますね。もっとも、これは錠剤の場合です。一応昏睡すると、消化力がなくなるのですかね。一山のんでも、あとは消化していないから、胃洗滌すると、原形で一山吐きだしますよ」

「粉末の場合はどうですか」

「粉末は、ダメかも知れません。これは、死ぬ方が多いかな。私がね、長い医師生活で、カルモチン自殺に成功したのを手がけたのは一例だけです。これは立派に死んでいました。