Japanische Klassiker mit Furigana
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こころのめ
心の芽
小川 未明
Lesen Sie 心の芽 (こころのめ) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.922 Zeichen · 10 Bildschirme
「あのとき、もち棒があれば、とれたかもしれぬ。」
くちおしく思うけれども、また、子供の時分のことで、よく飼い方も知らぬから、殺せばかわいそうだったとも考え、かえって逃げたのを喜ぶ心にもなるのでした。彼は、しばらく列の中に立ちながら、夢を見る気で空想をつづけると、ふいに、空から、ひらひらと、花びらの落ちるように、一ぴきの黒いちょうが降りて、そばの砂の上で体を休めたのです。
「花のない、人間ばかりのところへ、どうして、ちょうが、飛んできたのか。」
自然界には、想像もつかぬようなことがあるものだと思いました。正吉は、いまでは子供のときとちがって、めずらしいからといって、すぐ手を出して、捕らえようとはしませんでした。そのかわり、おちついて、色や、姿をよく観察する機会を与えられたのを喜び、ちょうの羽についている模様まで、つくづくとながめたのでした。
「なんという、不思議な、きれいなものだろう。神さまの力ででもなければ、つくれぬものだ。」
一ぴきの虫でさえ、子細に見れば、見るほど美しいのを知りました。はじめて、それに気がつくと、雲も、花も、すべてがおどろくばかり美しかったのであります。