Japanische Klassiker mit Furigana
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「しんりしけん」じょ
心理試験
小酒井 不木
Lesen Sie 心理試験 (「しんりしけん」じょ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 96.338 Zeichen · 197 Bildschirme
「よろしゅう御座います」
やがて彼は勘定を払って、よし子の案内で勝手場から裏通りへ出た。
星は罪のない光を発して、秋の夜空を一ぱい埋めていた。清三は用心深くあたりを見まわしたが、探偵らしい影はなかった。彼は泣きたいような気持になって、ひたすらに下宿へ急いだ。明日の日曜日の午後には妙子を訪問する約束になっているのだが、こんなに探偵に監視されては、外出するのが恐ろしかった。
清三は罪を犯したものの心理をいま、はっきり味わうことが出来た。僅な罪でさえこれであるのに、人殺しでもしたら、どんなに苦しいのか、きっと自分ならば発狂してしまうにちがいないと思った。
とりとめのない感想に耽りながら、彼は、歩くともなく歩いて、いつの間にか下宿の前に来ていた。彼は立ちどまってあたりを見まわし、そっと入口の格子戸をあけ、あわただしく主婦に挨拶して、走るように二階にあがった。多分もう八時を過ぎているだろうと思ったが時計を見る勇気さえなかった。
「梅本さん、お夕飯は?」階段の下で主婦の声がした。
「いりません」
「お済みになって?」
「まだ」
「まあ、では拵えましょう」
「いえ、いいんです。