Japanische Klassiker mit Furigana
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ただなおきょうぎょうじょうき
忠直卿行状記
菊池 寛
Lesen Sie 忠直卿行状記 (ただなおきょうぎょうじょうき) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.602 Zeichen · 47 Bildschirme
将軍秀忠は、この日寅の刻に出馬した。松平筑前守利常、加藤左馬助嘉明、 黒田甲斐守長政を第一の先手として旗を岡山の方へと進めた。
家康は卯の刻、輿にて進発した。藤堂高虎が来合わせて、
「今日は御具足を召さるべきに」というと、家康は例のわるがしこそうな微笑を洩しながら、
「大坂の小伜を討つに、具足は不用じゃわ」といって、白袷に茶色の羽織を着、下括りの袴を穿いて手には払子を持って絶えず群がってくる飛蠅を払っていた。内藤掃部頭正成、植村出羽守家政、板倉内膳正重正ら近臣三十人ばかりが輿に従って進んだ。
本多佐渡守正純は、家康と寸も違わぬ服装で、山輿に乗って家康の後に、すぐ引き添うた。
見ると、岡山口から天王寺口にかけて、十五万に余る惣軍は、旗差物を初夏の風に翻し、兜の前立物を日に輝かし、隊伍を整え陣を堅めて、攻撃の令の下るのを今や遅しと待っていた。
が、攻撃の令は容易に下らないのみか、御所の使番が三騎、白馬を飛ばして、諸陣の間を駆け回りながら、
「義直、頼宣の両卿を、とりかわせ給うにより、先手軍を始めることしばらく延引し、馬をば一、二町も退け、人々馬より下り、槍を手にし重ねての命を待つべし」