Japanische Klassiker mit Furigana
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ただなおきょうぎょうじょうき
忠直卿行状記
菊池 寛
Lesen Sie 忠直卿行状記 (ただなおきょうぎょうじょうき) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.602 Zeichen · 47 Bildschirme
と、触れ渡った。
家康も、今日を最後の手合せと見て、愛子の義直、頼宣の二卿に兜首の一つでも取らせてやりたいという心があったのだろう。が、この布令をきいた気早の水野勝成は、使番を尻目にかけながら、
「はや巳の刻に及び候。茶臼山の敵陣次第にかさみ見えて候。速かに戦いを取り結びて然るべし、と大御所に伝えよ」と怒鳴った。が、この二人の使番が引き取ったかと思うと、再び四騎の使番が惣軍の間を縦横に飛び違って、
「方々、合戦をとりかくべからず、しずかに重ねての令を待つべし」とふれ渡った。
しかし、昨夜の興奮を持ち続けて、ほとんど不眠の有様で、今日の手合せを待っていたわが越前少将忠直卿は、かかる布令を聞かばこそ、家老吉田修理に真っ先かけさせ、国老の両本多をはじめ、三万に近い大軍を、十六段に分け、加賀勢の備えたる真ん中を駆け抜け、加賀勢の怒り止むるに答えず、無二無三に天王寺の方、茶臼山の前までおし詰め、ここの先手本多出雲守忠朝の備えより少し左に、鶴翼に陣を張った。
この時初めて、将軍から、
「城兵は寄手を引き寄せて、夜を待つように見え候、早く戦いを令すべし」と、いう軍令が諸陣の間にふれ渡された。