Japanische Klassiker mit Furigana
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おもいでのき
思い出の記
小泉 節子
Lesen Sie 思い出の記 (おもいでのき) von 小泉 節子 (こいずみせつこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.841 Zeichen · 62 Bildschirme
西郷では珍客だと申すので病院長が招待して下さいました。ヘルンはこの見物騒ぎに随分迷惑致しましたが、私を慰め励ますために、平気を装って『こんな面白い事はない』などと申していましたが、書物にはやはり困ったように書いて居るそうでございます。御陵にも詣でました。後醍醐天皇の行在所の黒木山へも参りました。その側の別府と申すところでは菓子がないので、代りに茶店で、『ゑり豆』を出したのを覚えています。
帰りに伯耆の境港で偶然盆踊を見ましたが、元気な漁師達の多い事ですから、足を踏んでも、手を拍ってもえらい勢ですから、ヘルンはここで見た盆踊は、一番勇ましかったといつも申しました。杵築のは陽気な豊年踊、下市のは御精霊を慰める盆踊、境のは元気の溢れた勇ましい踊りだと申しました。
それから山越しに、伯耆から備後の山中で泊った事をいつも思い出します。ひどい宿でございましたが、ヘルンには気に入りました。車夫の約束は、山を越えまして三里程さきで泊ると云うのでしたが、路が方々こわれていたので途中で日が暮れてしまったのです。山の中を心細く夜道を致しました。そろそろ秋ですから、色々の虫が鳴いて居るのです。