Japanische Klassiker mit Furigana
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こいをこいするひと
恋を恋する人
国木田 独歩
Lesen Sie 恋を恋する人 (こいをこいするひと) von 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.195 Zeichen · 17 Bildschirme
お正はうつ向いたまま無言。
「それで今夜は運よくお互に会うことが出来ましたが、最早二度とは会えませんから言います、貴女も身体も大切にして幾久しく無事でお暮しになるように……」
お正は袖を眼に当て、
「何故会えないのでしょうか。」
「会えないものと思った方が可いだろうと思います。」
「それでは貴下は最早会いたいとは思っては下さらないのですか。」
「決して其様ことはありません。僕はこれまで彼女に会いたいなど夢にも思わなくなりましたが、貴女には会いたいと思っていましたから……」
「それではお目にかかる事が出来る縁を待ちましょうね。」
「ほんとうに、そうです。貴女も今言ったように、くよくよ為ないで、身体を大事にお暮しなさい。」
「難有う御座います。」
夜の更くるを恐れて二人は後へ返し、渓流に渡せる小橋の袂まで帰って来ると、橋の向うから男女の連れが来る。そして橋の中程ですれちがった。男は三十五六の若紳士、女は庇髪の二十二三としか見えざる若づくり、大友は一目見て非常に驚いた。
足早に橋を渡って、
「お正さんお正さん。彼れです。彼の女です!」
「まア、彼の人ですか!」とお正も吃驚して見送る。