Japanische Klassiker mit Furigana
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おそろしきつや
恐しき通夜
海野 十三
Lesen Sie 恐しき通夜 (おそろしきつや) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.092 Zeichen · 30 Bildschirme
だが若し、この消耗が恢復せず、更に悪化するようなら、断然流産をさせて置く方がよろしい。しからば、この女性について、見込みはいずれであろうか、と考えると、これがどっちにも考えられるのだ。私として、これは惑わざるを得ない事柄だった。
『もう一ト月待ってみませんか』
と私は云いたいところだ。しかし、一ヶ月後の人工流産では、すこし大きくなりすぎているので、母体の余後が少し案ぜられるのだった。けれども、私はそんなことを口に出して云わなかった。それというのが、以前この女の口から泪をもって聞かされた話があるからなのだ。
この若い女には、彼女の胎児にパパと呼ばせる男がなかったのだ。と云って、その男が死んでしまったわけではない。早く云えばこの女は、親の許さぬ或る男に身を委せ、とうとう妊娠して仕舞ったのだ。男は、幣履のごとく、この女をふり捨ててしまったのだった。彼女は、星宮君の云うが如きロシアの女には、なりきれなかったのだ。棄てられてしまうと、彼女はやっと目が覚めた。貞操を弄ばれた悔恨が、彼女の小さい胸に、深い深い溝を刻みこんだ。それからというものは、彼女は人が変ったように終日おのれの小さい室に引籠って、家人にさえ顔を合わすのを厭がったが、遂には極度の神経衰弱に陥り、一時は、あられもない事を口走るようになってしまったのだった