Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふのまぼろしへいだんいん
恐怖の幻兵団員
大倉 燁子
Lesen Sie 恐怖の幻兵団員 (きょうふのまぼろしへいだんいん) von 大倉 燁子 (おおくらてるこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.784 Zeichen · 28 Bildschirme
それから内地にいた時の夫の仕事など委しく訊かれ、やがて改まったような口調で、彼等の国に忠誠を誓うだろうかと問われました。
一雄は返事が出来ませんでした。黙っていると、
『答えをしないのは承知を意味するのだ。紙を渡すから、こっちの云う通りのことを書き給え』
『何を書くのですか?』
『無論、誓約書だ。我国に忠誠を誓うという』
『そんなことは――』
『書けんと云うのか?』と、士官は腰のピストルを取り出すと、いきなり一雄に銃口を向けて、
『さあ、書き給え』
拒否することは死でした。夫は銃口をつきつけられたまま、ペンをとり、云われるままに誓約してしまったのです。はっきりとは覚えていませんが、誓約書には住所、氏名、生年月日をしたため、次ぎにこんなことを書かせられました。
『私ハソビエト社会主義共和国連邦ノタメニ命ゼラレタコトハ何事デアッテモ行ウコトヲ誓イマス。コノコトハ絶対ニ誰ニモ話シマセン。内地ニ帰ッテカラモ親兄弟ハ勿論ドンナ親シイ人ニモ話サヌコトヲ誓イマス。モシ誓ヲ破ッタラ処罰サレルコトヲ承知シマス』
一雄は日本に残っている妻のことを考えると拒むことが出来なかったと云います。