Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふのまぼろしへいだんいん
恐怖の幻兵団員
大倉 燁子
Lesen Sie 恐怖の幻兵団員 (きょうふのまぼろしへいだんいん) von 大倉 燁子 (おおくらてるこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.784 Zeichen · 28 Bildschirme
本邸では父が重態だというのに何故一雄は来ないのだ、と、やかましく私が攻められていましたので、行方がわからないとも申せず、風邪で熱が高くて起きられぬと嘘を吐いて、その場、その場を胡麻化しているのですが、母にだけは胡麻化しきれず、母にだけ私は白状してしまったんですの。
親戚の者達はもともと私があの家の後継者の妻となる資格はない、と、反対しきっているのですから、夫のいないのをいいことにして、薫さんに家督相続をさせようとしておりますのです。
そういうわけですから父の息のあるうちに、何んとかして探し出して頂きたいと思うのです。あれだけ脅やかされていたのですから、正気を失った人になっているかも知れませんが、生きてさえいてくれたら、と、そればかり念じているのですけれど、今日で一週間目になりますのに、どこからも便りがないので、あるいはもうこの世にはいないのではないか、などと思ったりして、私は生きた心地もございません。先生はどうお思いになりますか? 今はもう先生のお力にお縋りするよりほか、私には手のつくしようがありませんの、どうぞ、先生、お願いですから――」
夫人は涙ぐみながら、私の前に手を合せて頼むのだった。