Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あくいんねんのうらみ

悪因縁の怨

江見 水蔭

Lesen Sie 悪因縁の怨 (あくいんねんのうらみ) von 江見 水蔭 (えみすいいん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.705 Zeichen · 28 Bildschirme

Aozora Bunko

「それはそうで御座いますが、私、江戸へ出て、奉公でもしたいと思っております」

「奉公は好いな。どうだな、武家奉公をする気は無いかな」

「私の様な者、とても御武家様へはねえ……こちらで置いて頂きたくッても、先方様でねえ」

「いいや、そうで無いよ。お前の様な美顔で、心立の好い者は、どのくらい武家の方で満足に思うか分らない」

「おほほほは、お客様、お弄りなさいますな」

「いや、本統だよ、奉公どころか、嫁に欲しいと望む人も出て来るよ」

「おほほほは、私、羽田の漁師を亭主に持とうとも思いませんが、御武家様へ縁附こうなんて、第一身分が違いますでねえ」

「身分なんて、どうにでもなるもんだよ。仮親さえ拵えればね」

「……ですが……私はとても、そんな出世の出来る者では御座いません」と急にお玉は打萎れた。

若殿の心の帆は張切って来た。

「いや、そんな事はどうにでもなるんだよ。とにかく、どうだね、身が屋敷へ腰元奉公に来る気は無いか」

「えッ、御前の御屋敷へ?」

とんと洲へ船を乗上げた。話に実が入って梶を取損ったからであった。

市助まず喫驚して飛起きると、舳を蘆間に突込んだ拍子に、蘆の穂先で鼻の孔を突かれて。