Japanische Klassiker mit Furigana
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あくいんねんのうらみ
悪因縁の怨
江見 水蔭
Lesen Sie 悪因縁の怨 (あくいんねんのうらみ) von 江見 水蔭 (えみすいいん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.705 Zeichen · 28 Bildschirme
「はッくしょイ」
宗匠は又坊主頭を蘆の穂先で撫廻されて。
「梨の実と間違えて、皮を剥いちゃア困ります」と寝惚けていた。
五
やがて船を大師河原の岸に着けた。
「さて、ここが森下というのだね。平間寺へ御参詣、厄除の御守を頂きにはぜひ上陸然るべし。それから又この船で川崎の渡場まで参りましょう」と宗匠はさきに身支度した。
中間市助は、早や岸に飛んで、そこに主人の雪駄を揃えていた。
それで未だ若殿は立上りそうも無いのであった。
「痛ッ、痛ッ、どうも腹痛で……」と突然言い出した。
「えッ、御腹痛、それには幸い、大森で求めた和中散を、一服召上ると、立地に本腹致しまする」と宗匠、心配した。
「いや、大した事でも無い。少しの間、休息致しておれば、じき平癒致そうで……どうか身に構わず行って下さい」
「でも、御前がお出でが無いのに、我々で参詣しても一向興が御座いませんから……」
「いや、遊びの心で参詣ではあるまい。大師信心……どうか拙者の代参として、二人で行って貰いたい」
中間市助、宗匠の袖を引いて。
「それ、御代参で御座いますよ。宗匠、分りましたか。二人は御代参……ね、厄除の御守りを頂くので御座いますよ」